『MARU。architectureの宇宙展—思考のはじまりとつながり—』@プリズミックギャラリー

南青山のプリズミックギャラリーで1月21日から3月5日まで「MARU。architectureの宇宙展 ―思考のはじまりとつながり―」が開催されている。MARU。architectureは、高野洋平氏と森田祥子氏の2人からなる建築家ユニットで、展覧会の説明にあるように本展示では、アンビルドから竣工作品まで17のプロジェクトについて、模型を中心に展示している。

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入り口を入るとすぐに「こんにちは。」から始まる語りかけのイントロダクションが目に付く。語り口調も柔らかく、MARU。Architectureのお二人を体現するかのようなカジュアルで親しみやすい導入である。

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展示は縮尺を1/100で統一した各プロジェクト模型が天井面に設置された造作から吊るされており、観覧者の動きやドアが開いた際の風で模型がゆらゆらと揺れ動く。まるで重力から開放された宇宙空間のようだ。

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それぞれの模型は、入り口側から時計回りに独立した当時からプロジェクトも含めて時系列で並んでおり、お二人の思考の移り変わりをそのままの系譜で俯瞰できる。

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各模型の背景になる壁やガラスからそれぞれのプロジェクトを端的に解説したキャプションが展示室の中心に向かい、直線に走っており、17のプロジェクトを纏め上げる。キャプションが図となり、見えないはずの「円」が、それぞればらばらに見えるプロジェクトたちを1つの作品に昇華させているようだ。

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プロポーザル案も豊富に展示してあるが、カラフルに色をつけてあるものも多く、かわいくてポップな印象を受ける。こういった印象も入り口の導入部分から一貫したものだ。お二人と話していてもその柔らかい印象が矛盾せずにこの展示や模型に現れている。

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お二人が2015年にコンペに勝利した話題の土佐市複合文化施設の模型もあるが、プリズミックギャラリーには、コンペ時の模型が展示してある。現在、このプロジェクトは基本設計が完了しているようで、上の模型が最新版である。これは、現在東京・京橋で開催されているAGC studio「新しい建築の楽しさ 2016:後期展」で見ることができる。筆者は、そちらも見学したが、全体を動線、構造、立面の3本立てて構成されており、それぞれが極めて高いレベルで調和していた。

今回のプリズミックギャラリーの展示は全体を通して、「重力」という言葉がキーワードに浮かんだ。もちろんタイトルにある「宇宙」からも連想できるが、安定した地盤面に基礎となるコンセプト文があり、その上にそこから導き出された思考の塊である模型が浮遊するという事象自体からそれを感じずにはいられない。17のプロジェクトのキャプションが地盤面の上を展示室の中心に向かって伸び、1つに「統合」されているようであるが、本当は、二人の根源である「統合」的根源からそれぞれの作品が飛散的に生まれたように解釈できるのも「宇宙」というタイトルからかもしれない。

『MARU。architectureの宇宙展 ―思考のはじまりとつながり―』
会期:2017年1月21日(土)~3月5日(日)
開館時間:10:00~18:00
入場:無料
会場:プリズミックギャラリー [東京都港区南青山4-1-9]

 


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medium 1-1Architects  神谷勇机
1-1 Architects(イチノイチ アーキテクツ)は、神谷勇机と石川翔一による愛知県刈谷市の一級建築士事務所です。東海地区を中心に国内外を問わず、住宅設計や店舗設計、 リノベーションなど幅広いデザイン業務を行っております。
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