途上国での建築を成功させるために知っておくべき現地での3つ常識

途上国での建築と聞いてみなさんはどのようなことを思い浮かべますか?
ネガティブなイメージを思い浮かべる方はいても、ポジティブに考えられる方は少ないのではないでしょうか。しかし、今後日本国内の建築市場が減少していくことは自明なことです。日本の建築技術者も海外に(特に途上国に)積極的に出なければいけない局面は必ず来るでしょう。さらに筆者のいたアフリカでも日本の建築技術への信頼は厚く、我々が進出する下地はあると感じました。
そこで今回は、アフリカで建築活動を行ってきた筆者が「途上国での建築を成功させるために知っておくべき現地での3つ常識」 をご紹介します。

①図面通りには進まない

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日本では、現場監理で図面通りに建設が進んでいるかを確認しますが、途上国ではなかなかうまくはいきません。図面通りに進むことの方が少ないのが現状なのです。
「こっちの方が楽だから。」「材料が手に入らなかったから。」など様々な理由をつけられて現場は勝手に進んでいきます。それを正すことは建設コストの増加や工期の遅れにつながります。また法整備の整っていない途上国で契約書をかざして建設コストの増加を防いだり、賠償金を請求することも困難です。 クライアントと密接に連絡を取り、状況を頻繁に報告しましょう。

②時間通りに進まない

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日本は、世界でも稀に見る時間に厳しい国です。日本国内のみで仕事をしていると工期は守るのが当たり前です。しかし、途上国では時間厳守の概念はほぼありません。
建築現場に限らず時間を守るという感覚がないので、ゆっくり始まり、ゆるやかに終わります。もともとスケジュールを組むときは日本の工期の2〜3倍の余裕を持って計画することが重要ですし、現場でも大らかな気持ちで取り組むことが必要です。クライアントが現地の法人や個人であれば、それを理解してくれます。施工会社と良い関係で現場を進めるには、工期の遅れを認め、早めにクライアント対応に徹することが重要です。

③そもそもプロジェクトがなくなる

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筆者のいたアフリカの国では、政府の一声で大規模プロジェクトが始まり、政府の一声で無くなります。
これは、巨大な力をもつ法人や個人にも当てはまり、トップの指示は絶対です。そのため、多くの設計事務所が日本より頻繁に設計監理料を徴収しています。もしくは、先払いで設計監理料を徴収し、払ってもらった分だけ作業に移るという先払い方式も一般的となっています。日本の感覚で契約をするとプロジェクトが頓挫した際に大打撃を受けますので、要注意です。

さて今回は、「途上国での建築を成功させるために知っておくべき現地での3つ常識」をご紹介しました。ご紹介した内容はアフリカを中心に多くの途上国で当てはまる注意すべきことですが、これ以外にも各国でそれぞれ常識や法律が異なりますので、契約前に現状調査をしっかりすることが何よりも重要です。日本の建築技術を途上国は求めています。是非こちらの記事を参考に、新天地に一歩を踏み出す建築関係者が増加することを願います。


ABOUTこの記事をかいた人

medium 1-1Architects  神谷勇机
1-1 Architects(イチノイチ アーキテクツ)は、神谷勇机と石川翔一による愛知県刈谷市の一級建築士事務所です。東海地区を中心に国内外を問わず、住宅設計や店舗設計、 リノベーションなど幅広いデザイン業務を行っております。
STUDIOUNBUILTプロフィールページ

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