植栽計画について3回にわたってお届けします。1回目は植栽計画を作るうえで、まず押さえておきたい「気勢」についてです。
樹木には、それぞれの自然な形があります。その樹木の特徴をいかし、自然風な配植をするときに「気勢」というものが重要になってきます。それは形あるものすべてに存在するもので、形状などから空間に見えない線を生み出して、今にも動き出しそうな方向に向かって伸びている見えない線なのです。また強さと範囲があり、安定した形のものは弱く、不安定なものほど強いという特徴があります。例えば円形のものは、周囲に均等に少しずつ「気勢」を出し、三角形は角から上に「気勢」を出し、鋭角的な三角形なら鋭い「気勢」を出します。これをを無視して配植を行うと散漫で落ち着かない印象の庭になってしまいます。今回は樹木の持つ「気勢」をつかんで、植栽計画をする際のコツをご紹介します。
1本(単植)だけ植える場合
樹木には表と裏があり、日差しを受け葉が茂っていて枝ぶりが均等にバランス良く見える方向が木表になります。1本だけ植える場合は、枝が傾くことなく木表を鑑賞位置に向かって植えると、気勢は根元から上部に向かって放射状に出ることになり、偏りがなくバランスが取れます。単植に使われる主な木は、常緑針葉樹では、コニファー類、常緑広葉樹では、オリーブ、ソヨゴ、シラカシ、ゲッケイジュ、落葉樹では、コブシ、ハナミズキ、サルスベリ、ウメ、サクラ類などがあります。株立ちではアオハダ、アオダモ、コナラ、シャラノキ、モミジ類、ヤマボウシ、ハイノキ、シマトネリコ、エゴノキなどがよく使われます。
2本植える場合
2本植えの場合は、主役の木に対して添えるようにもう1本を植えるようにし、主役と脇役の関係をはっきりさせておきます。また、自然の中では、樹木が一直線に並んでいることはないためそれに習って、主役の木に対し脇役の木を斜め前か後ろに植えます。気勢は鑑賞位置から見て、2本全体から左右均等に出ているように配植します。
3本植える場合
2本の場合と同様に3本全体の気勢が左右均等に出ているように植えます。また3本の木は平面的にも立体的にも不等辺三角形になるように配植します。また大中小の大きさの木を配植する場合は、大と小を近くに植え、中を離すようにするとより自然な調和が感じられる配植となります。3本以上植える場合は、1本植え、2本植え、3本植えを一つの単位とし、不等辺三角形を作るように組み合わせていきます。
次回は住まいの重要な役割を持つ「アプローチと門まわりの計画」についての植栽計画についてお届けします。
植栽計画のコツ②「アプローチと門まわりの計画」
植栽計画のコツ③ 「テイスト別の庭」
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gardenさん
外構設計施工会社にて営業、プラン作成、設計施工と 10年以上携わってきました。 |