STUDIO UNBUILT(スタジオアンビルト)のクラウドソーシングシステムへの登録者が増加しているように、建築業界での協働の可能性や必要性は拡大する一方です。独立当初にクライアントから直接仕事の依頼が来る設計者は多くないでしょう。独立後、地域工務店と協働してきた筆者が設計事務所側から見た協働のメリットと押さえておくべき注意点を3項目に分けてお伝えします。
ポイント1:相手が何を求めているか判断する
独立当初は、自身の特徴やアイデアを大きく表に出そうとやる気になっている若手設計者も多いと思います。しかし、工務店と協働する際にいつもそれが有効に働くとは限りません。協働する工務店が、常に特別なコンセプトやデザインを求めているわけではないからです。ある時は工務店のスタッフの手が足りず、その補填にと協働を考えていることもあります。その際は、言われたことを正確に素早く対応することが何より重要でしょう。しかし、反対に工務店からいつもと違うカラーを出したいというような要望を頂くこともあります。その際は、言われたことをそのままこなしていては要望に沿えません。その時々のニーズをしっかり把握し、的確に対応する瞬発力が次の仕事にもつながります。これは、STUDIO UNBUILT(スタジオアンビルト)の案件でも同じでしょう。
ポイント2:地域の特徴や傾向がつかめる
地域に根付いた工務店との協働は、その地域のことを知るにはもってこいです。特に地元に戻り独立するような新参者の設計者は、その土地の技術者や職人などと面識がないことも多いです。地域の工務店との仕事を通して、その地域の方に知ってもらえるメリットが生まれますし、その地域でのコスト感覚も身に付くでしょう。 さらに、建築技術者に限らず、その地域の様々な分野の方を直接紹介してくださる機会もありました。
ポイント3:工務店のもつ知識や技術が得られる
独立当初の若手設計者と30年以上勤続してきた工務店の現場監督や職人とは、圧倒的に現場での知識や技術に差があります。協働することで、その知識や技術を学び、取り入れることができます。筆者も現場の職人の方々から多くのことを学びました。独立当初の若手の時代は、謙虚に真摯に学ぶことも重要でしょう。
上記のように、ポイント1〜3をしっかり満たしながら地域の工務店を協働していけば、ただの人的補充に収まらず、お互いwin/winの関係を築いていくことができるでしょう。この関係はSTUDIO UNBUILT(スタジオアンビルト)のクラウドソーシングでも十分成り立つと思います。この業界で「下請け」とネガティブな表現で揶揄されることの多い協働仕事ですが、考え方や自身の意識次第で有意義なものに変わるでしょう。
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1-1Architects 神谷勇机 1-1 Architects(イチノイチ アーキテクツ)は、神谷勇机と石川翔一による愛知県刈谷市の一級建築士事務所です。東海地区を中心に国内外を問わず、住宅設計や店舗設計、 リノベーションなど幅広いデザイン業務を行っております。 →STUDIOUNBUILTプロフィールページ |