パートナーは幼馴染。注目の若手建築家ユニット1-1 Architects(神谷勇机+石川翔一)のお二人にお話しを伺いました

発展途上国の恵まれない子供たちのために何かをしたいと考えても、実際に行動に移せる人は少ないのではないでしょうか。
ジンバブエの多くの孤児のために安定的に食事を提供する児童養護施設「HC3 – Harare Child Care Center –」は、愛知県の建築家ユニット1-1 Architects(神谷勇机+石川翔一)が計画を進めている。
同計画が建築家の登竜門と言われるSD review 2014で入選し、注目を集めるお二人にお話しを伺いました。

 

幼馴染の二人で立ち上げた1-1 Architects(イチノイチアーキテクツ)

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1-1 Architects(神谷勇机+石川翔一)は愛知県刈谷市内に広い庭のある民家を改装して事務所を構えている。
二人は小中高と同じ学校に通った幼馴染だという。大学、就職先は別々だったが同じ建築の道を選び、2014年に1-1 Architectsを共同で立ち上げた。

神谷氏は大学卒業後、アトリエ系設計事務所に3年間勤め、新築住宅やリノベーションをメインに設計してきた。
一方の石川氏は大手組織設計事務所で小学校や事務所ビル、庁舎などを担当しおており、比較的大規模な建築を担当してきた。石川氏は「大きいものが多かった中で、実は100㎡以下の守衛所を担当したときが、細部まで好きなデザインができて一番楽しくやっていたんです。」と住宅など小さな建築への憧れを語ってくれた。

異なるフィールドで設計をしてきた二人の設計スタイルや好みは正反対とのことだが、だからこそ二人でやる意味があるという。
「いつも白熱した議論になります(笑)。お互いの意見を尊重しながら選択したり摺合せたりしています。自分では思ってもいないアイデアが出てくるところが面白い。」と神谷氏は話す。

SD review2014 入選で注目を集める

HC3_パース2014年に事務所を設立し、神谷氏はJICA (国際協力機構)の青年海外協力隊の建築隊員としてジンバブエに2年間滞在した。
その時に計画したジンバブエの児童養護施設「HC3 – Harare Child Care Center –」は日本でも高く評価され建築家の登竜門と言われるSD review2014に 入選した。
日干し煉瓦によるシンプル構法とすることで、建設工事には現地の誰もが参加でき、コストの削減と維持管理が自身で出来る状態を目指したという。

日干し煉瓦

当時、石川氏は組織設計事務所に在職中だったため、日本からプロジェクトに参加した。ジンバブエの神谷氏とインターネット会議で設計を進めた。
石川氏は「ネット環境も十分ではないので、何度も会話が途切れて打ち合わせが進まず大変でした(笑)」と国際プロジェクトならではの苦労も笑顔で語ってくれた。

既存の柱梁を活かした改築を提案

160616_木造改築案件パース

神谷氏はジンバブエでの2年間の活動を経て2016年に日本に帰国。石川氏も組織設計事務所を退職し、2016年から1-1 Architectsとして本格的に活動を開始した。
現在は知立市の築50年の民家の改築を行っている。一度軸組だけの状態にして壁や床を纏わせていく計画だという。
「お施主さんは当初新築を望んでいましたが、天井をあけた時にかなり綺麗な梁が残っていたので、これを活かした方がいいと考えました。コスト的にもメリットがありました。」と神谷氏は話す。順調に行けば年内に竣工する予定だ。
SDレビュー入選後の1作目として注目される。

スタジオアンビルトで空き時間を有効活用する

1-1 Architectsは他にも工務店から施主の要望を伺ってプランを提案するなど、工務店と協調したプロジェクトも進めている。
今後は建築専門クラウドソーシング[STUDIO UNBUILT]でプラン作成を行うなど、プロジェクトの合間を有効活用しながら事務所運営を軌道に乗せたい考えだ。
「スタジオアンビルトでは設計プランの作成に加え、イラスト作成、家づくりで悩んでいる方に向けにセカンドオピニオンなどの仕事をしたい」と石川氏は話す。
震災復興コンペ_パース① 石川氏が描くイラストはフリーハンドの水彩画がメインで、画像のものなら2、3日間で制作できるという。料金は2万円~。
石川氏の人柄がにじみ出たようなやさしいイラストが特徴的だ。

地元のまちづくりや途上国の建築に積極的に関わりたい

今後は当面は住宅をメインに設計を行っていく予定というが、現在も事務所も半分は公用語を英語にしているなど常に世界に目を向けている。二人は今後の目標を次のように話してくれた。
「住宅はずっとやっていきたいですし、コンペなどにどんどん挑戦して公共建築にも携わりたいと思っています。また、刈谷市は建築家が少ない所なので、まちづくりの方にも関わって行けたらと思います。」
「今でもジンバブエに繋がりがありますし、アフリカでも仕事ができたらいいと思います。これからは途上国の建築が重要な位置づけになると思うので、若いうちからやっていきたいです。」
これからも二人のさらなる活躍に注目したい。

■STUDIO UNBUILT :1-1 Architectsプロフィールページ

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